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2004年12月 9日

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予測できない未来

先日の日記にも書きましたが、PC業界にも激変の予兆がありました。IBMがPC事業を売却することに決定。売却先は、中国最大手のPCメーカーLenovo Group。レノボグループは、Gartnerによると全世界で第9位の市場シェアを持つ企業のようですが、あんまり聞いたことがありません。

■IBMのPC事業売却が正式決定--売却額は17.5億ドル

競合企業にとっては、チャンス!でしょうね。顧客の激しい争奪戦がありそうです。レノボはどういう反撃に出るのでしょうか。

■IBMのPC事業売却--顧客への影響はいかに

DellやHewlett-Packard(HP)などの競合各社が、神経質になったIBM顧客を奪おうとする可能性が高く、さらにそれが大口契約を狙った激しい争奪戦につながる可能性もある。Dell会長のMichael Dellは米国時間7日、ここ数年のPC市場における合併の大半は失敗に終わったという見解を示したが、そういう同社は価格を武器にしてIBM-Lenovoから顧客を奪う可能性がある。HPもしかりだ。

従業員にとっては深刻な不安を生じさせるものでしょう。そりゃそうです。まさかIBMがThinkブランドを手放すとは思いませんから。

■IBM:「オンデマンドコンピューティングとPC事業の両立は困難」

「ノースカロライナで働いている人間は、全員がとても動揺している」とある情報筋は語った。

ところで、先日ノートパソコンを買い替えるにあたって店頭をまわったのですが、最近は白い筐体のPCが多い気がしました。それに対してIBMのPCは黒くて無骨な感じ。どこか精彩に欠ける印象を持ちました。もちろんその重厚感がブランドとして人気のあった時代もありましたが、やはりどこか転換期が訪れていたのかもしれません。

未来は予測できないものです。
サンのCEOも「とにかく、今から50年後を想像するのは非常に難しい」と述べているようです。*1

ただ、未来は創造することができる、かもしれません。

以下のコミュニティに参加してみましたが、非常に勉強になります。恐れを知らないので投稿までしちゃいました。ブログを横断するコミュニティという感じなのですが、とても鋭い切り口からの記事を読むことができます。

■FPN~未来を創造するプロフェッショナルたちのネットワーク

最新の記事でIBMについて言及されていました。

■ブランディング : レノボって何?PCからIBMブランドが消える日

IBMのThinkPadは質実剛健、象が踏んでも壊れないので有名で、私の知り合いも多くの人が愛用しています。

ある人は、一度ThinkPadをマンションの階段で落としてしまい、上から下まで縦に転がったのに、なんとスイッチが入ったという奇跡を目の当たりにしてからずっとThinkPadだそうで。

なるほど。品質が保障されているわけですね。Thinkブランドの動向を追ってみたい気もします


*1:「サンCEOのマクニーリ、加工写真にまんまとだまされる」 http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20079568,00.htmという記事からの引用です。えーと、これはちょっと余談的ではありますが、講演に使った1954年当時の人がコンピュータを想像した写真は、潜水艦をバックに撮影した合成写真だったようです。このタイトルはちょっとひどい気もしますね。とにかく、写真にしても記事にしても引用するときには、まずその信憑性を疑ってみる必要はあります。

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2004年12月 7日

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波及させる力。

エバンジェリストという言葉はMacintoshが普及するときによく使われていたという印象がありますが、よいものを誰かにすすめたくなる、というのは、人間の心理として当然のような気がします。逆に悪いことも伝わりやすい。

「バズ」として、バイラルマーケティングなどの手法も一時期注目されていました。ただ口コミは、伝播する速度や範囲の面でマス広告にはかなわないんじゃないかとも思います。もちろん、うまく火をつけてあげれば、わっと短期間で広範囲に広めることも可能ですが。

昨日も取り上げましたが、Firefoxはユーザーの募金によって全面広告という展開をしました。これは、口コミ×マスコミという効果があったのではないでしょうか。さらにPR効果もあった。すごいです。

こんな調査結果もありました。

■Firefoxユーザーは広告無視の傾向大--独企業発表

広告業界としては表面的には面白くない結果ですね。ただ、この記事にもかかれているように、以下の部分についてはチャンスでもあります。

Adtechの調査結果は、オンライン広告業界に重大な影響を及ぼす可能性がある。この調査結果は、オンライン広告からの収入に頼っているニュースサイトにとっては有り難くないものかもしれない。Firefoxユーザーの数が増えるほど、広告のクリック率が下がる可能性があるからだ。しかしその一方で、Hallowellの説が正しいとすれば、Firefoxユーザーのクリックは他のユーザーのものよりも価値があるということにもなり得る。

手当たり次第に配信する広告よりも、きちんと届いたか、ということが重視される。広告主としても、きちんと届いている媒体にお金を払いたいものです。

広告のつくり方も変わるかもしれません。クリエイティブがよければいい、とか、かっこいいビジュアルがあればいい、とか、とりあえずばらまいちゃえ、とか、企業がパワーで主張するような広告は逆に見てもらえなくなってしまうのかも。

メディアが進化して、恐竜のように絶滅していく種もあるのでしょうか。こんな記事もありました。

■若年層のネット移行で、紙媒体の新聞・雑誌が絶滅する?

以下の部分はなるほど、と思いました。活字離れが進んでいるわけではない。自分のことを考えてみても、最近、書籍はあまり読まなくなったのですが、一方でテキストを読む量は飛躍的に増えている気がしました。

若者の活字離れが進んでいるから、というのもまったく的外れだ。その反対に、若者の多くはむさぼるように読んでいる。だが、情報は無料であるべきだという信条の下で育ってきたために、ニュースにお金を払う理由を見いだせない。その代わり、ワシントン・ポスト紙のウェブサイトにアクセスするか、『Googleニュース』で文字通り何千、何万というソースから情報を選んでいる。『RSS』形式で配信される最新情報(RSSフィード)を携帯情報端末(PDA)で受け取る人もいれば、自分と同じ意見を持ったブロガーのサイトを訪れる人もいる。要するに、若者たちは情報収集という行為をカスタマイズしているわけで、それは1種類の紙の出版物だけでは絶対にできないことだ。それに、新聞紙を触って手が汚れる心配もない。

アクティブコンシューマーなどという言い方もありましたが、能動的に情報を取得しようとするひとたちをどのように掴んでいくか。AIDMAじゃなくて、AISASという考え方もありました。検索(Search)して、情報を共有する(Share)ことが大事になる。

企業が情報発信するときには、このような動向は見過ごせません。情報を能動的に収集するひとたちを波及させる力に変えていくことが、必要になってくるのかもしれません。

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2004年12月 2日

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ハードウェアの行方

任天堂からニンテンドーDSが本日発売です。米国では10日ほど早く発売されたようですが、既に昨日50万台を突破とのこと。日本では12月12日にPSPも発売予定。クリスマス商戦のひとつのネタとしてゲーム機が盛り上がりそうです。

■ニンテンドーDS、米国で50万台突破

同社は、「AppleのiPodが19カ月かかった100万台の記録を、ニンテンドーDSは北米だけで年内に達成する見通し」としている。

iPodの記録を塗り替えちゃいますか。すごいですね。

プロモーションの側面からみると、宇多田ヒカルさんを起用したCMは賛否両論あったようですが、個人的には気に入っています。プロモーションサイトも力が入っている。タッチパネルが大きな特長ということで、Touchというコンセプトを据えて、いろんなひとが触ったときの驚きを動画で公開しています。サムネール風のものがばっと画面いっぱいに広がって、ついつい「このひとはどんなリアクションをするだろう?」という感じでクリック(Touch)してしまう。

■Touch-DS.jp

製品のコンセプトと、プロモーションのコンセプトがきちんと貫かれているとそれだけで気持ちがいい。

DSはダブルスクリーンの略だったかとおもいますが、液晶が2枚あります。CPUもARM9とARM7を1つのチップにまとめたデュアルコアなんですね。PC Watchでハードウェアを早速分析(いや分解?)していました。

■本日発売! ニンテンドーDS初見記

急に大きく話題がとぶのですが、インテルやAMDもデュアルコアの戦略を推進しようとしています。CPUも液晶も1個売るより2個売った方が儲かる、という単純な商売としての算段もあるかもしれませんが、クロックの競争から効率的な処理という方向に進んでいるようにも思います。

■AMDとIntelはなぜデュアルコア化を急ぐのか?

とはいえ、数年後のことはわかりません。PCに関していえばこんな雲行きの悪い予測も。*1

■パソコン:3年以内に大手3社が撤退?

パソコン市場は、2005年まで更新需要が続き、好調が維持される見込み。しかし、2006年以降は出荷台数の伸びが急激に鈍り、上位企業でも生き残りは苦しくなる。両社のほか、米デル社、富士通・シーメンス、東芝、台湾エイサー社、NEC、米アップルコンピュータ社、中国の連想社、米ゲートウェイ社の上位10社が、いずれも楽観できないという。

情報家電的な方向への転換が本格的になるのかもしれません。MP3プレイヤー、デジタルカメラ、フォトビューワーなどが統合されつつありますが、ゲーム機やPCなどのハードウェアの行方が気になります。


*1:米ガートナー社の29日(米国時間)発表によります。米IBM社と米ヒューレット・パッカード(HP)社も、パソコン事業を本体から切り離す可能性があるので、ユーザーは生き残るメーカーの見極めが重要になるとのこと。2005年までは好調のようですが、その後は激変する予測です。なんだか平穏な時代になってほしいのですが落ち着きません。やれやれ。

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2004年12月 1日

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ブログ元年

とうとう12月。今年もあと1ヶ月で終わろうとしています。去年も言われていたようですが、今年は「ブログ元年」。いろんな動きがありました。そしてこれからも活発化していくようです。

29manさんのブログで、アメリカで流行語大賞の第1位は「blog」だったという記事がありました。J-Waveでジョン・カビラが言っていたとのこと。*1

■アメリカでの今年の流行語大賞決定!第1位はやっぱり「blog」

ブッシュがケリーとの公開討論会において隠しイヤフォンをしながら挑んだ疑惑など、数々の批判や議論をどこのメディアよりもいちはやくとりあげたのがブログだったとの事。ブログがどんなメディアよりもリアルタイム性の高いことがアメリカでは大統領選挙という世界的に関心の高いスーパービッグイベントで証明されたようですね。

大統領選における効果が注目されたんですね。選挙、災害など社会的な場面でメディアとしてのブログは強い気がします。

追記として、検索用語でも「ブログ」がいちばんだったという記事があります。関心がもたれているという証明でしょう。

■今年最も辞書検索された用語は「ブログ」

外国の話題からは、こんな記事も。

■Apple:学生用ブログを開始

アップルらしい。学生やクリエイターをまず刺激する。そうしてとんがったひとたちからまず取り込んでいく。iPodで勢いづいていますが、こういうアップルらしい展開をしていただくと、なんだか嬉しい気がします。*2

ビジネスブログの動向なども追いかけているのですが、同時に大学のブログなども面白いと思いました。

ちょっと古いのですが、慶應義塾大学なんかはミスコンをブログでやっていましたね。

■2004 Miss Keio Contest Official BLOG @ Excite

写真だけ、イベント会場で見るだけ、のミスコン応募者の日記が読めるということで親近感があります。撮影した写真も評価の対象になったりして。美しさはもちろん文章や写真による知性や表現力を総合的にみるという点が、こういうコンテストにも向いている気がしました。

梅花女子大学や多摩大学でも、力を入れている気がします。少子化社会なので、大学のプロモーションという意味でも効果的ではないでしょうか。

■梅花女子大学
■多摩大学

若い世代が次々と育ってくる気がします。期待するとともに、僕等も頑張らなければ。しかし、ブログを書いていて気になることがあります。ネタ切れです。これについては、百式の田口さんがヌーベルブログで対処方法のサイトを引用されています。ジョークっぽいんだけど、実は的を得ています。

■ネタ切れ脱出法

個人的に最も頷けるのは最後の対処法ですね。僕も30分という時間制限を設けていますが、仕事はゲーム感覚でやるのがいちばんです。

と5分でこの一段落書けなかったら俺はアホだ!と心の中で(たまに口から漏れるが)叫びながらやる。必要に応じて1分にしたり3分にしたりもします。やらなくちゃいけない仕事はゲームにしてしまうとやる気が出ます。

ははは。さすが百式で濃い情報を配信されている田口さんだけに、注目するサイトが違いますね。見習わなくっちゃ。

*1:29manさんはビーコンという超有名な広告代理店にお勤めですが、ホリスティック・マーケティング及びホリスティック・コミュニケーションのプランニングを得意としていきたい、と書かれているのに注目いたしました。ブログで学ばせていただきます。

*2:こちらは織田さんのブログから。nikkeibb.jpで紹介されている欧米の企業ブログの動向も参考になりました。http://nikkeibp.jp/wcs/show/leaf/CID/onair/biztech/rep02/335222 ヌーベルブログでも記事を書かれていますね。

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2004年11月18日

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ブログ出版

低迷している出版業界で、文芸社や新風舎*1という自費出版を事業とする出版社が伸びているらしい。とはいえ、日刊デジタルクリエイターズ*2のメールマガジンにも書かれていたのだけれど、どうも自費出版というのはマイナスイメージがある。つまり、本物の出版ではなくて、作家デビューしたい素人の気持ちを利用した悪徳事業であると(そこまで言っていないか)。

実は新風舎の松崎義行社長は知人でもあり、新風舎に関しては僕は擁護したいと思っています。けれども、なかなか実際まではわからない。発行点数が多く、しかもアマチュアの本だから、装丁のデザインもすごく安くてデザイナー泣かせである、などというウワサも聞く。作家気取りのふつーのひとを担当して、編集者としてのモチベーションを維持できずに辞めていく社員も多いらしい(ほんとうのところはわかりません)。

しかしながら、ブログがこれだけ普及してきて、ブログの内容を出版するサービスも数多く出てきている。これは自費出版系もしくはインディーズ的なニッチな分野の出版ではビジネスチャンスではないのか。特に、欧米ではその傾向があるらしい。

■Webマーケティングの近未来 第11回~欧米での企業ブログの現状(その4)

インターネットが普及し始めたころに、Yahoo!やLycosなどのオンラインメディアが生まれてきたように、アメリカではブログのみを複数出版するメディア会社が出てきている。このようなメディア会社が出てくるということで、メディアとしてのブログの層の厚さや、進化の先が見えてくるのではないかと思う。

Blogでは個人が情報をどんどん発信できる。同様に、セレブなひとたちも次々に情報を発信して、身近な存在に思えてくる。JUGEMのように「× JUGEM 」*3という著名人や企業とのコラボレーションも展開できる。デザインが凝っていて、ブラウザ上で見ていても楽しい。

ただ文章を書く人にとっては、活字で印刷して本にしたい、という要望はあるのではないだろうか。そんな人たちのために、ブログからオンデマンド印刷のような形の出版サービスがもっと増えてくれるといいんだけど。

*1:表現するひとのための出版社。コンテストも実施。外苑前に熱風書房という直営の本屋さんもある。http://www.shinpusha.co.jp/


*2:クリエイター系のメールマガジン。玄光社で編集長などの経歴を持つ柴田氏が発行。http://www.dgcr.com/


*3:この会社のやることには期待しちゃいます。キヌガサにしても。http://jugem.jp/jugem/collabo/

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