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2006年8月 6日

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10minutes diary

▽cinama06-050:秀逸な物語マーケティング。でも、素敵な世界ではある。

B000EOTFMQ北川悦吏子 原作・脚本 10minutes diary [DVD]
北川悦吏子
ポニーキャニオン 2006-05-17

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インターネットで公開した作品であり、"東京ネットムービーフェスティバル"のブランドコーポレート部門でグランプリを受賞とのこと。5人の女性のちょっとした一日のダイアリーで、素敵なOLさんの一日が描かれます。それは田舎から出てきて派手なメイクを落として帰省する女性の話であったり、彼氏にふられて退屈な日曜日に結婚している友人の家にいく話であったり、行きたくない合コンに出席してなんとなくいい感じの男性が現れて自分のことを気にかけてくれているというような、ほんとうに何気ない風景を切り取っているのですが、主役はトップモデルさんなので、日常といっても素敵すぎる風景です。

で、必ず彼女たちはフィットネスクラブに行って汗を流す。というのも、この一篇10分あまりのショートフィルムのスポンサーがミズノだからということもあるのですが、やはり物語的に完成度が高い。こういうことあるだろうなあ、という共感を生むので、その宣伝的なシーンも自然です。そして、スポーツでもしてみるかな、という気持ちになる。なんとなくこういうライフスタイルに憧れるなあ、という気持ちになる。

ただ、ぼくはこの一連の感情を、心脳的に潜在意識をコントロールされている、とは思わなくて、夢をみさせてくれるということ、自分の平凡な日常も映画のなかの主人公とシンクロできそうな豊かな気持ちにさせてくれるので、いいんじゃないかな、と思います。何かを売り込もうという気持ちよりも、なんでもない生活をよりよくするための提案というカタチになっている。あるいは提案にもなっていなくて、ほんとうに個人的な気持ちのよい一日の追及になっているかもしれない。それがコントロールされていることだ、と目を吊り上げる方もいるかもしれませんが、いいんじゃないのかなあ、というのが正直な感想です。8月6日鑑賞。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(56/100冊+50/100本)

投稿者: birdwing 日時: 00:00 | | トラックバック (0)

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メリンダとメリンダ

▽cinema06-049:喜劇と悲劇の同時進行と重なり合う物語

B0012P6C9Aメリンダとメリンダ [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2008-03-19

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冒頭で、まず喜劇作家と悲劇作家が登場します。そして、その作家を含めた4人が飲みながら、とある第三者のエピソードをそれぞれ喜劇的、悲劇的な二方向から創り変えていく。そのふたりの劇作家が脚色するのがメリンダという女性を主人公としたストーリーなのですが、映画のなかで同時進行していきます。これはどっちだったけ、とかなり複雑になるのですが、そのあたりの知的な仕掛けがウディ・アレン的ともいえる。同じビストロが登場したり、アラジンのランプのような小物が登場したりする。複線の使い方にしても、物語の流れ方にしても、非常に凝っているものでした。喜劇編、悲劇編のいずれにおいても、メリンダという女性を受け入れる夫婦(映画監督の女性と売れない俳優の男性、音楽の先生をやっている女性とやっぱり売れない俳優の男性)は、結局のところ愛情が破綻していったりするのですが、そのあたりのテーマもウディ・アレン的ともいえる。さらに音楽も彼っぽく、それほどぐっとくるわけではないのですが、雰囲気のある小品という感じでした。8月6日鑑賞。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(56/100冊+49/100本)

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2006年7月30日

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イン・ザ・カット

▽cinema06-048:映像が表現する心理と、個人的な困惑。

B0002MV51Eイン・ザ・カット [DVD]
ジェーン・カンピオン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2004-10-06

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遺体をバラバラに切り裂く連続殺人犯を中心に、文学の講師であるフラニー(メグ・ライアン)が事件に関与する刑事マロイと愛欲に溺れていく世界を描いたサスペンスです。フラニーはスラングや地下鉄の広告や、詩などの言葉を収集しては、ピンで机の前に貼っていく。彼女自身もどこか破綻している性格なのだけど、ストーカーまがいの人物が周囲にいて、だれもが犯人に思えてきます。この倒錯した世界をうまく表現しているのが、深みのある色と、部分的にボケた映像だと思いました。しかしながら、映像はいい雰囲気なんだけど、ストーリーがいかがなものか、という感じです。深みがないのでは。

メグ・ライアンは、かつて好きな女優のひとりでした。というのも彼女の底抜けな明るさと、映画におけるちょっとドジなキャラクターがものすごく気に入っていた。ところがこの映画のなかでは一転して暗く、疲れた顔が多い。ついでに全裸もあり、濃厚なラブシーンまで演じているのですが、好きな女優だとはいえ(ちょっとうれしいけど)ぼくは裸がみたかったわけではない。この映画で、大切なひとを殺されて泣きつづけて目が腫れて、しかも泥酔状態で衣類もぐちゃぐちゃになっているメグ・ライアンをみて、いや、ぼくがみたかったのはこういう彼女じゃないんだけど、と切なくなりました。しあわせそうな結末で、はにかんで笑っている彼女の映画のほうが好きです。ストーリーとは関係のない、ものすごく個人的な感想ですが。7月30日鑑賞。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(55/100冊+48/100本)

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2006年7月29日

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ウォーク・ザ・ライン 君につづく道

▽cinema06-047:食傷気味な、ミュージシャンの苦悩と成功

B000KQFCHUウォーク・ザ・ライン 君につづく道 [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2007-02-16

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すべての映画を観つくしたわけではなく、ぼくは映画ファンとしてはまだまだ未熟だと思うのですが、音楽をテーマにした映画は、なんとなく特定のフレームワークに絡め取られてしまっていて、ワンパターンであり、やれやれ、またこのストーリーか、と感じてしまうことがあります。どういうことかというと、幼少のときのトラウマを抱えつつ(兄弟を亡くした)、ものすごくよい曲を書いてデビューするのだけど、トラウマゆえに心の弱さを抱えきれずに、ツアーのストレスのなかで主人公はドラッグへ退廃的に溺れてゆく。ツアー中に心を許した女性と、残してきた妻や子供などの家族を両立できずに悩む。悩むのだけど最後はその泥沼から立ち直る。そんなストーリーです。「レイ」もそうだったと思うし、「バード」も同様でしょうか。サクセスストーリーというと、どうしても構造だけ抜き出してみると同じようなものになるのかもしれないのですが、もうちょっと別の音楽系映画のパターンってないものか、と思いました。むしろミュージシャンは登場しないのですが、このあいだ観た「エリザベスタウン」の方が音楽的だったなあ。7月29日鑑賞。

公式サイト
http://www.foxjapan.com/movies/walktheline/

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(55/100冊+47/100本)

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2006年7月24日

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エリザベスタウン

▽cinema06-046:自分を見直す旅、家族、彼女、そして音楽。

B000HKDEUGエリザベスタウン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2006-11-02

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泣けました。一流のシューズメーカーに勤務している主人公ドリュー(オーランド・ブルーム)は、新しくデザインした靴が大失敗をして、会社に10億ドルもの損害を与えます。解雇されて家で自殺しようと思うのだけど、そのときに電話がかかってきて、父が心臓発作で亡くなったという知らせを聞く。悪いときには悪いことが重なるものだけれど、田舎に帰る途中でスチュワーデスのクレアと出会います。別れ際に電話番号を教えてくれたので、電話で一晩中、話をしてさらに徹夜で会うのですが、話が尽きない相手というのはいるもので、なんだか懐かしいものを感じました。

田舎では、近所はもちろん親戚たちなどたくさんのひとが集まって、ほんとうにうざったいのだけど、それがあたたかい。都会に暮らしているとかなりドライになるものですが、田舎というのはほんとうに面倒くさいことも多いけれど、おせっかいも含めてひとびとのあたたかい関係があるような気がします。父の葬儀の騒がしさのなかで、ドリューは人々のつながりにも癒されていきます。

この映画は、失恋したりし仕事がうまくいかなかったり落ち込んでいる方におススメです。「失敗がなんなの?」と言ってくれて、自分を取り戻すための分厚い旅のマップ(BGMつき)を作ってくれるクレアのような彼女がほしい。ひとりのクルマ旅、火葬されてツボに入ってしまった父を助手席に乗せながら、彼はいろんなことをツボのなかの父と話して、笑ったり怒ったり号泣したりするのですが、この場面はぼくには涙なしには見れませんでした。

それから、映画のなかの音楽がいずれもすばらしい。以下の公式サイトを開くと映画のなかで使われている音楽が流れます(ENTERからFlashのサイトに入ると音が出るのでご注意ください)。サイトを確認しながら、ずっと聴いてしまった。アコースティックギターの音がいいなあ。シーンが目に浮かんでじーんとします。キャメロン・クロウ監督は10代から音楽評論の仕事に携わっていたとのこと。なるほど、やはり音楽をわかっていると使う音楽も違います。サントラがほしくなりました。7月24日鑑賞。

公式サイト
http://www.e-town-movie.jp/

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(53/100冊+46/100本)

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