03.cinemaカテゴリーに投稿されたすべての記事です。

2006年4月17日

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ビッグ・リボウスキ

▽cinema06-028:不条理という現実。

B00005V2NEビッグ・リボウスキ [DVD]
イーサン・コーエン
パイオニアLDC 2002-03-22

by G-Tools

失業中のいい加減な男が、自分と同じ名前のリボウスキという金持ちのために、さまざまなトラブルに巻き込まれているというストーリーです。そこに湾岸戦争帰りの友人なども関わって、ぐちゃぐちゃなコメディが展開されます。コーエン兄弟の映画は、こうした不条理な世界をテーマとした作品が多いですね。ぼくがいちばん好きなのは「バーバー」なのですが、とてつもない運命に流されていく主人公の、かなしさと面白さが同居したような作風が結構気に入っています。一方で、「オー・ブラザー!」的なあっちの世界を感じさせる映像も困惑しながらも楽しめました。ボーリングのシーンが全体を通して何度も多用され、イメージのなかで自分がボーリングの球になるような映像もあるのですが、そのナンセンスなユーモアも面白かった。とはいえ、実は湾岸戦争という社会状況が落としたシリアスな影響もあります。いちばん不条理なのは、この現実なのかもしれません。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(26/100冊+28/100本)

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2006年4月10日

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テイキング・ライブス

▽cinema06-027:想定内であることの愉しみ。

B0006NKDIUテイキング・ライブス ディレクターズカット 特別版 [DVD]
ジョン・ボーケンキャンプ
ワーナー・ホーム・ビデオ 2005-01-21

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連続殺人事件を解明しようとするFBIの女性捜査官イリアナ(アンジェリーナ・ジョリー)の物語です。冒頭では、のどかなエピソードから一転して目を覆うような残虐なシーンになり、こいつが犯人だろうということは明確なのですが、いや犯人じゃなかったりして?と思わせるようなシナリオが上手いと思いました。また、これで最後だろう、と思いつつも、さらに展開をする脚本にも脱帽です。しかも、それらが最終的には、すべて想定内の展開と感じられました。あまりにも想定外なストーリーであると、観ているひとはストーリーの飛躍についていけなくなる。しかしながら、あまりにも想定内であるとつまらない。やっぱりね、という想定内でありつつも最後まで観させるのがよいサスペンス映画という気がします。痛い映像は苦手なのですが、それほど直接的には描かれていないのでなんとか直視することができました。時々挿入される超アップな映像が、不安感をそそります。イーサン・ホークがいい感じです。あとは、濃厚なラブシーンがあるのですが、アンジェリーナ・ジョリーがナイスバディでまいりました。ふっくらとした唇に注目してしまった。しかし、ほんとうにまいったのは心理的な描写だったりもします。こちらのほうが痛い。4月10日鑑賞。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(25/100冊+27/100本)

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2006年3月27日

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ネバーランド

▽cinema06-026:信じること、空想すること。

B000FHIVWMネバーランド [DVD]
デイヴィッド・マギー
ショウゲート 2006-06-23

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ピーター・パンの劇作家ジェームズ・バリ(ジョニー・デップ )の物語です。4人の息子をもつ未亡人(ケイト・ウィンスレット)と公園で出会い、彼女の家族と過ごすようになります。息子のうちのひとりにピーターという少年がいるのだけれど、父を亡くしたときから心を閉ざしてしまって、夢みることを拒絶している。その少年ピーターとの関わりに、なかなか切ないものがありました。たかが芝居だ、とか、あなたは父ではない、とか、現実を冷たくみつめて言い放つ少年に、バリは夢をみることを教えようとする。「彼は、はやく大人になろうとしている」と表現するのですが、それでもやっぱり子供は子供なんですよね。母親の愛情を求めているし、父親と約束したのに行くことができなかった釣りのことがずっと心に陰を落としている。

緑の芝生の映像や、空想のシーンと交錯するイメージや、空をふわふわ飛ぶような浮遊感や、どこか曇ったガラス越しにみるような風景そのものが、なんとなく気持ちいい。信じるとそこにネバーランドが存在する、というのは、映画そのものも同じかもしれません。3月27日鑑賞。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(21/100冊+26/100本)

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2006年3月26日

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オールド・ボーイ

▽cinema06-025:壮絶な笑顔、復讐の最後。

B0007INYIUオールド・ボーイ プレミアム・エディション [DVD]
パク・チャヌク
ショウゲート 2005-04-02

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2週間ぐらい前に、とある知人の方と飲んだのですが、韓国に詳しいその方から、ぜひ観ろと猛烈にプッシュされました。そんなわけですぐに借りてきて観なければと思っていたのですが、子供が喘息で入院したので観ることができず、延滞および再びレンタル期間を延長までして借りて伸ばし伸ばしにしていたのですが、やっと観ることができました。

まず、感想をひとことで言うと、凄い。凄すぎる。映画を観ていないインターバルがあったのですが、久し振りに映画を堪能したという感じです。しかしどちらかというと、刺激が強すぎました。暴力的な映画が苦手なひとにはあまりおすすめできないかもしれません。とはいえ、最初から最後まで、ぐいぐい引っ張られます。

15年間、理由もわからずに監禁された男の物語です。しかし、15年後に解放される。ところが解放された理由には、すさまじい復讐の罠が隠されていた。監禁の間に身体を鍛え、監禁した男を探り出し、なぜ自分を監禁したのか理由を説い正し、復讐しようとするのですが、とんでもない真実が待っています。硬派でハードボイルドな映画ですが、歯を抜いたりするような拷問のシーンが多く、そもそも先日歯を抜いたばかりであると同時にお医者さんが苦手なぼくには、この場面は直視できませんでした。タランティーノが絶賛、ということをその知人の方からも聞いていたのですが、こういうことだったか、と納得しました。

原作は日本のコミックなんですね。オ・デス役のチェ・ミンシクの壮絶なまでの笑顔が印象に残りました。映像のテンポもいいし、ほんとうに衝撃的な作品という感じです。映像は暴力的かつ衝撃的なんだけれども、対比するような音楽の官能的でせつないメロディも印象的でした。3月26日鑑賞。

公式サイト
http://www.oldboy-movie.jp/

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(21/100冊+25/100本)

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2006年3月21日

a001152

映画 ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦

▽cinema06-024:空想と現実のあいだで。

B002MH1AOO映画 ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦 [DVD]
バンダイビジュアル 2010-01-27

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ティガもダイナもガイアも出てくるという、これでもかという作品ですが、うちの9歳の長男はいたく気に入ったようで2回も観ていました。というのも、物語の上手さにあるような気もします。不思議な赤い球を手にすることで、主人公の少年たちはその願いを現実化することができるようになる。そこで、空想の世界であるガイアを現実世界に呼び出すわけです。この映画自体が空想の世界といえばそうなのですが、空想のなかの世界でまた入れ子構造の空想の世界が現実化され、ガイアに変身する隊員は戸惑ったりもする。大人の目からみると、こういうのあり?という苦笑気味な展開なのですが、よく考えてみると、少年時代には空想も現実の一部でした。サンタクロースを信じるような確かさで、ウルトラマンも信じていたかもしれない(もちろんどこか特撮でしょ、と冷めた気持ちもあったことは確かですが)。そしてただのヒーロー映画ではなく、日々の生活で言いたいことも言えずに勇気の出ない少年が異次元からの転校生の少女に恋する、世界を守るために勇気を出す、という物語が秀逸だったのだと思います。思えば「時をかける少女」など、NHKの少年ドラマシリーズには夢中になったものです(あ、年齢が)。そしてあの物語のなかでも、いっしょに過ごした記憶が消えてしまうことが、ある種の切なさをもって心に残ったものでした。ジュブナイル的な物語のツボを押さえたよい作品だと思います。3月21日鑑賞。

*年間本100冊/映画100本プロジェクト進行中(21/100冊+24/100本)

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