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2008年1月30日

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アタマの自主トレ。

とりとめもなく考えることを趣味とするわたくしとしては(そんな趣味があるのか?)、ついつい買ってしまう雑誌が東洋経済新報社の「Think!」。買うのはいんですけど、これ、高いんですよね。1冊1,800円もします。ちょっとしたハードカバー並みの価格です。ただ、特集や掲載されているインタビューの人物に惹かれて、書店で手に取ってしまうのでした。前回買ったときもそうなのですが、買ったからには読み倒そうと思っています。

今回の特集は「地頭力トレーニング」。ちょうど細谷功さんの「地頭力を鍛える」という本を読了したところでもあって、タイムリーでした。表紙に並んでいる名前に脳研究者である池谷裕二さんをみつけたり、野口悠紀夫さん、神田昌典さんが書かれていることも購入の動機となりました。

Think! WINTER 2008 no.24Think! WINTER 2008 no.24
東洋経済新報社


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まずは冒頭の野口悠紀夫さんの「ビジネスパーソンに必須の「経済学的なものの考え方」」。最近読んでいることとつながりが感じられたのだけれど、就職活動の時期でもあるせいか、経済学の「比較優位の原則」を応用して、次のようなことが語られています(P.2)。

「比較優位の法則」を個人のキャリアに当てはめて考えれば、就職先を選ぶときに、みんなが入りたがる会社ではなく、「あなたに合った会社に入りなさい」「あなたの得意なことが活かせる会社に入りなさい」ということになる。

この言葉は後半の次の部分にもつながるのではないでしょうか(P.3)。

アメリカ・カリフォルニア州で1848年に金が発見され、人々が殺到してゴールドラッシュとなった。彼らは「フォーティーナイナーズ」と呼ばれる。彼らがなぜ失敗したかというと、みんなと同じことをしたからだ。 カリフォルニアに行けば金がある。金を探せば金持ちになれる。確かに自分1人だけが行けばそうなるが、多くの人が行けば状況は変わってしまう。

柳の下のドジョウという言葉も連想されましたが、受験などの合格率もそうかもしれません。マーケティング的にはニッチ(隙間)な市場を探せ、ということかもしれないのですが、そういえば「カンブリア宮殿」の本のなかで、男前豆腐店の社長である伊藤信吾さんも同じようなことを語られていたような気がしました。

次の言葉もなんとなく含蓄を感じました。

ケインズは「正確に間違えるよりも、漠然と正しくありたい」といった。3割くらい違っていても多くの場合に問題はないから、大まかな数字をつかんで、漠然と正しい方向へ向かう議論をすることが重要だ。ところが、そういう議論が行われていない。

木をみて森を見ず、というか枝葉末節というか、細かいことにこだわるばかりに全体を見失うことがあります。漠然と正しければよしとする考え方は、まさに細谷功さんの「地頭力を鍛える」で語られていたことでした。全体から考える、として。

仕事でもそうなのですが、細かいデータばかりを追っていると、最終ゴールを見失ってしまうことがあります。データに多少の誤差があっても、最終的なゴールに到達できるのであれば、アバウトでかまわない。数値というのは、到達する場所への道筋を補足するための指標であればいい。

雑誌をめくりながら、内容とは全然関係ないのですが思ったこと。池谷裕二さんかっこいいなー。

080130_ikegaya.JPG

以前には、こんな滝廉太郎というか、野口英世というか、ジョン・レノンというか、そんな感じの丸いメガネなんてかけていらっしゃいましたっけ。うーむ。しびれる。聞くところによると奥様も超美人とか。アタマがいいだけではなくて、ルックスも素敵で、奥様が美人というのは、羨ましすぎる。どれかひとつでいいから、あやかりたい(苦笑)。

と、「Think!」によって思考力を鍛える気持ちが高まってきて、仕事の帰りに渋谷で書店に立ち寄ってまた買ってしまいました。次の2冊です。

プロフェッショナルアイディア。欲しいときに、欲しい企画を生み出す方法。プロフェッショナルアイディア。欲しいときに、欲しい企画を生み出す方法。
小沢 正光


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その1人が30万人を動かす! 影響力を味方につけるインフルエンサー・マーケティングその1人が30万人を動かす! 影響力を味方につけるインフルエンサー・マーケティング
本田 哲也


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どちらも表紙が赤いですね。どーでもいいですが。

こんなふうに思考力の筋トレ道具が充実してほくほくしているのですが、ふと気付くと小遣いがシェイプアップされている(涙)。どうすればこちらは豊かになるのでしょうか。

投稿者: birdwing 日時: 23:48 | | トラックバック (0)

2008年1月26日

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[日記] ドック(犬ではなくて)という楽園

健康管理も仕事のひとつと言われますが、年に1回、会社の決まりで健康診断を受けなければなりません。さらに特定の年齢を超えると人間ドックとして、泊り込みあるいは日帰りでいろんな検査が必要になります。それだけ身体にガタがくる年齢ということもあるのですが、ぼくも人間ドック対象者であり、ほんとうは昨年の11月にドック入りする予定だったのですが、忙しくて延期したところ12月に予約が取れないほど人気ということ。1月になってしまいました。

そんなわけで行ってきました人間ドック。人間ドッグだと勝手に思っていた時期があったのですが、それでは人間犬、いわゆる人面犬ではないですか。どーでもいいことですが、人間ドッグとして思い出したのは、デビッド・シルビアンの次のアルバムでした。

B00004YMVCEverything and Nothing
David Sylvian
EMI 2000-10-31

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かわいいですよね。このジャケット。

さて、前日の21時からは飲食禁止ということで、木曜日には空腹を我慢しつつ25日金曜日の8時15分の集合時間にぎりぎりで滑り込みました。例年、ぼくがドックで通っている病院はちょっと大きめの総合病院で、公立学校の先生方の指定病院らしく、やっぱり先生らしきひとが多い。さらに70歳ぐらいのひとが多く、みなさん白髪です。ちゃらちゃらしている若造はわたくしぐらいのもので、非常に恐縮する。

近くに住む会社の先輩などは、最初はこの病院に通っていたのですが、時間がかかるし食事はまずいのでやめてしまったとのこと。別の場所の病院をすすめるのですが、なんとなくぼくはこの病院にこだわっています。

というのも最初にドックを受けた病院ということもあるのですが、父親が教師だったぼくとしては、なんとなくこの雰囲気に馴染むものがあるんですよね。70歳近い先生らしき年配者の方々に囲まれているのがほっとする。それからですね、1泊なんですが、オプションの検査を受けないとものすごく暇なんですよ(笑)。会社の先輩はその非効率さが気に入らないようですが、次の検査を待つ間にベッドでうとうとする時間がものすごくしあわせなのだー。

080126_dock.JPG天気のいい日、ぱりっとしたシーツのベッドで本を読みながらうとうとまどろむのは、ものすごく贅沢な時間だと思います。願わくば3回も血を抜かれたり、まずいバリウムを飲んだりすることがなければいいのだけれど、ドックなので仕方ない。近くに学校があって、子供たちがグラウンドではしゃぐ声が聞こえてきたりする(今回は学校側の部屋ではなかったので静かでしたが)。病棟の最上階にあるので、眺めもいいです。

といっても部屋はひとり部屋ではなく、4人の相部屋です。これも組み合わせによっては、会話がないときもあれば、見ず知らずのひとでも和気あいあいとお話をしちゃったりすることもある。

今回も、検査を待つ間うつらうつらしたり本を読んだりしていたのですが、同じ部屋のおじさんのひとり、少しばかり太り気味な方のイビキがすごい。「ふぎゅるるるる、んぐるるるるる」と続くのは比較的ノーマルなのでよいけれども、ときどき

「ふごぐるる・・・んがっ!!」

のようにバクハツする。おーまい、がっ!!の「がっ!!」ですかね。本を読みながら、びくっとするわたくしは小心ものでございます(苦笑)。これはあれだ、いま流行の睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)ではないでしょうか。なんとなく心配になりましたが、知らないおじさんだし。言えないですよねえ。なんとなく躊躇してしまいました。

いやーしかし楽園でした。少なくとも1日目は。

おととしぐらいには、会社のメールを携帯電話でチェックしたこともあったのですが、不条理なメールにかーっときて血圧が上がってしまったことがあった。今回も随時メールチェックはしていましたが、なるべく読み流すようにしていました。忙しい忙しいと言いながら、実はどうにでもなるものだな(というのも、どうかと思うのだが)。そんなわけで仕事から切り離された一日、おかげさまで読みかけの以下の3冊の本をいっきに読み終えることができました。

4584392544ことばに感じる女たち (ワニ文庫)
黒川 伊保子
ベストセラーズ 2007-12-18

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4492555986地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
細谷 功
東洋経済新報社 2007-12-07

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4167665042春、バーニーズで (文春文庫)
吉田 修一
文藝春秋 2007-12-06

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以前には、腸の触診として、おしりの穴にずぼっと指だか器具だか突っ込まれる検査もあったのですが、最近はなくなってしまいました。あれ、すごく恥ずかしいんですよね。なぜか若い看護婦さんが見てるし。突っ込みたいとは思うけれども(できれば)突っ込まれたくない男性のわたくしとしては、非常に困惑な検査でしたが、みなさんそう思われるのでしょう。いつの間にかなくなっていました。ほっとしたり、ちょっとさびしくもあったりして。

5時(!)に夕食後、健康に関する講義を1時間ばかり聴いて、そのあとお風呂に。お風呂からあがったらまだ8時すぎで、時間の流れがゆっくりと感じました。食堂のようなところに、ボディソニックのような体感音響機器が置かれていたので、そこで音楽を聴くことに。腰のあたりに低音がずんずん響いて、うほーな気分になりました。ヒーリング系のCDがあって、サブリミナル効果で元気が出る言葉が高い周波数で何度も繰り替えされているとのこと。聴き取ろうとしたのですが無理でした(当たり前か)。

と、そんな楽園に浸りながら一日を終えたのですが、2日目、ひどい頭痛と肩こりでした。寝すぎ、もしくはベッドが合わなかったのか、あるいはサブリミナルの言葉にやられたのか(苦笑)。ついでに胃の検査でバリウムを飲んだら気持ち悪くなり、帰宅後には寝込んでしまいました。

そもそも今回人間ドックで同じグループだった13人のうち、胃カメラではなくて胃透視はぼくひとり。いまだにカメラ飲むのが怖いとか思っているのはぼくだけだったようです。そもそも胃カメラのほうが病気を発見できるようだし、来年はバリウムじゃなくてカメラ飲んでみるかなあ。

コーヒー&シガレッツの映画の感想を書いたときには、タバコを吸うのもいいんじゃないかと考えたのですが、今回のドックの講義を訊いて、タバコによる発ガン率のアップなどあらためて健康の大切さを認識しました。それでも発ガンするのはタバコのせいだけじゃないと思うんだけど、大切なひとには健康でいてほしいから(できるだけ)タバコを控えるようにお願いしたいところですよね。

仕事に追われまくっている日々のなかで、人間ドックという1泊2日を思いっきり満喫してまいりました。

健康がいちばんです。

投稿者: birdwing 日時: 23:56 | | トラックバック (0)

2008年1月22日

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懐かしさと新しさと。

SRMAG0802.gifDTMを趣味としている自分としては、チェックして時々買ってしまうSound & Recording Magazine。

2月号の表紙はレディオヘッドです。さまざまな雑誌に露出過多で、もうそろそろいいんじゃない・・・という感じですが、それでも黒い背景にメンバーの写真がかっこいい。トム・ヨークではなくて、赤いセーターを着たジョニー・グリーンウッドが前面という配置もいいですね。トムはなんだか、ぽよよ~んという顔をしている。それはそれで雰囲気あるのだけれど。

しかしながら、実はぼくがこの本を購入したのは、たった2ページのインタビュー記事のためでした。じゃーん。

ロジャー・二コルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ!

080122_soundandreco1.JPG

昨年末に邦楽のフロアで彼等の最新アルバムを発見して購入してから、かなりヘヴィ・ローテーションで聴いています。陽だまりに寝そべっているようなしあわせな気分になれる。21世紀にこの音を出していることが信じられません。

雑誌に載っている写真のおじさん&おばさん・・・というよりおじいさん&おばあさんが、若々しいハーモニーを奏でているんですよ?

うーむ、ほんとうにまいりました。記事は最新アルバムについてのインタビューなのですが、まずキャッチコピーに「このメンバーが集まったのは25年ぶり/ポール・ウィリアムスとの共作も34年ぶりなんだ」とあります。長い(泣)。アルバム自体は40年ぶりの2ndだったりします。

しかしながら読み進めてにやりだったのは、DAWを使っている。で、びっくりしたのですが、ドラムはなんと打ち込み。FXPANSION BFDを使っているとのこと。わ、わからなかった。ドラマーが叩いていると思いました。打ち込みだったのかドラム。引用します(P.35)。

●新録曲のドラムはすべて打ち込みですか?
○その通り。Digital Performer 5 でプログラムした。音源はFXPANSION BFDで、特にこだわりがあるところ以外はすべてクレイにまかせた。ちなみにベースの大半は僕がエレキベースを弾いているが、SPECTRASONICS Trilogyを使っているパートもある。
●ストリングスは?
ROLAND JV-80とJV-880をミックスして使っている。2つの異なるパッチをブレンドする音作りが好きなんだ。もちろん、新録曲以外は当時のストリングス・セッションをそのまま収録しているが、クレイの腕前のおかげでそれほど違和感はないはずだよ。

違和感ないない(激しく横に首振り)。ちなみにクレイというのは、エンジニアのクレイ・スミスとのことで、1970年代の音源に新しいボーカルを重ねるなどの処理をしながら作っていったそうです。ついでに、ロジャー・二コルスはベース弾くのか。やるなあ、二コルスじいさん。

080122_soundandreco2.JPG

1stアルバムにも収録されている「The Drifter」については、以下のように語られています。

●「The Drifter」ではオリジナルにおいて少し控えめだったメリンダのボーカルがかなりフィーチャーされていますね。
○この曲に関しては、今なら昔のアプローチよりももっと優れたボーカル表現ができると思ったのでトライしてみたんだ。こちらの方がずっと気に入っているよ。現代では昔に比べて編集による音作りが容易なので、僕らもその恩恵にあずかっている。ちょっと聴くと大丈夫なようでもよく聴くとミス・トーンになっているところなんかを、正確なテイクに差し替えたりしている。ハーモニーでは何よりも正確なチューンが大事だからね。

DAWでは音の切り貼り、テンポがずれているところを合わせたりピッチの調整などが可能なのですが、ぼくはこのアルバムはそんなテクノロジーとは無関係に作られたものだと勝手に思っていました。けれどもきちんと最先端の技術を使って、しかも懐かしくあったかいサウンドを究めている。素晴らしいなあ。

ぴこぴこ電子音を奏でるだけがテクノロジーではなくて、生音を加工して聴きやすくすることにも技術は活用されます。いや、オレはアナログ派だ、デジタルなんて大嫌いだ、というアーティストもいるかと思うのですが、最新の技術を取り入れつつも40年前とまったく変わらない音楽を奏でているロジャニコにしなやかなクリエイターとしての感性を垣間みたような気がしました。

+++++

アルバムはこちら。

フル・サークルフル・サークル
ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ


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以下のサイトで「フル・サークル」の試聴が可能です。1曲150円でダウンロードもできます。ぼくのおすすめは、1、2、3、4、5、12。

■MUSICO Roger Nichols & the Small Circle of Friends
http://musico.jp/contents/contents_index.aspx?id=tYTZG

投稿者: birdwing 日時: 23:56 | | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年1月15日

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センサーの感度が高まって。

どーしたことでしょうか、いい匂いがするんですけど。

街を歩いているとき、書店で本棚の前で立ち止まるとき、なんとなくいい匂いがして思わず深く息を吸い込み、鼻腔を膨らませてしまいます。懐かしい匂いだったり、とても甘い香りだったりする。なんとなく癒される気持ちになったり、切なかったりする。うーむ。ひょっとしてぼくがいい匂いになってる?な、わけないか(苦笑)。加齢臭だったらやだなあ。

感覚が研ぎ澄まされているのかもしれません。以前にもそんな感じになったことがありました。カラダの細胞の組織が突然変異を起こして、まったく変わってしまう感じ。世界が昨日までとはまったく違うものに思えてくる、というか。なんとなくスピリチュアルでいかがわしい気もしますが、ほんとうにそんな感覚なのです。感覚のイノベーションですかね。

そんな風にセンサーの感度が高まっている本日、原田永幸さんの「とことんやれば、必ずできる」という本を読了し、2箇所の書店でしこたま本を買い込んでしまいました。読書欲が高まっております。しかも、久々にちょっと面白い本にめぐり会った気がしています。センサーを解放しているせいでしょうか。

本日、購入したのは次の5冊です。あああ、小遣いが(泣)。

ことばに感じる女たち (ワニ文庫 P- 154)ことばに感じる女たち (ワニ文庫 P- 154)
黒川 伊保子


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倚りかからず倚りかからず
茨木 のり子


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春、バーニーズで (文春文庫 よ 19-4)春、バーニーズで (文春文庫 よ 19-4)
吉田 修一


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地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
細谷 功


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ソーシャルイノベーションデザイン―日立デザインの挑戦ソーシャルイノベーションデザイン―日立デザインの挑戦
紺野 登


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ブンガクから仕事関連までジャンルはいろいろですが(しかも詩集まであったりして)、最初に読み始めたのは黒川伊保子さんの「ことばに感じる女たち」と「地頭力を鍛える」なのですが、これが面白い。交互に平行して読んで、はまりまくっています(現在、それぞれP.60、P.40を読書中)。

まず、黒川伊保子さんの本ですが、そもそもぼくは「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」や「恋愛脳」を読んで黒川さんのファンになりました。AIの研究者で言葉についての研究をされているだけあり、黒川さんの使う言葉はとても魅力的です。感性についての洞察も鋭い。言葉を操るブロガーとして、言葉の力を究明していきたいと考えていきたいぼくとしては、非常に参考になります。

冒頭から読み始めて、言葉の音と身体感覚を述べた部分には思わず背筋に何か走る感じがあったのですが、これは読了後に感想を書きたいと思います。にやりと笑ってしまったのは、文庫本の前書きでした。黒川さんは以下のような問いを投げかけます。

Q. 「仕事と私、どっちが大事?」と女性に問われたとき、正しい答えはどれか?

黒川さんが挙げている選択肢は次です。

①「きみが大事だよ、けれど、きみを大切にするためには仕事も大事だろ?」
②「きみだよ」
③「仕事かなぁ」
④「くだらない」
⑤「ああ、きみに寂しい思いをさせていたんだね、ごめんね」

さて、正解はどれでしょう(笑)。というか、正解も不正解もないような気がしますが、黒川さんが挙げている正解を読んで、なるほどなあ、と思いました。ちなみにその理由はまだ読んでいないのですが、なんとなくわかる。いずれ本を読み進めながら、答え合わせをしたいと思います。

その次の過激な言葉も頷けるものがありました(笑)。若干恥ずかしいのですが引用します(P.5)。

女は「ことば」でイク――という定説は、本当である。
けれど、それはベッドの中で褒めろという意味ではない。
必要なのは、日常のシーンにおける、心のわだかまりを解く「ことば」である。
ベッドに入る前に、「ことば」の勝負は決まっている。女のわだかまりを上手に説いてやれる男は、ベッドで無口でも一向にかまわない。

うーむ。引用していて、ほんとに恥ずかしくなってきた(照)。でも真理じゃないですかどうですか。ちなみに、ときどきブログで黒川さんの本を引用するのですが、このとき共感いただける女性は素敵な女性という気がします。個人的な見解ですけれども。

つづいて、「地頭力を鍛える」ですが、こちらは逆に男性脳的というか左脳的というか、ロジカルな分析が非常に素晴らしいと思いました。コンサルタントの細谷功さんが、インターネットの登場によって思考の重要性が高まっていることを説くとともに、どのような思考が重要であるかについて書かれた本です。

第1章を読んで、思考法をフレームワークに変える見事さにやられまくっているのですが、このことについてはブログでいずれじっくりと書きたい気がするのでいまは触れずにおいて、インターネットにおける「コピペ思考」に対する危惧について書かれた「はじめに」の部分を考察しておきます。

ワープロの登場とパソコンの普及により、手書きをする機会が減っていますが、その弊害というと「漢字が書けなくなる」ということがいちばん大きいのではないかと思います。字が下手になる、ということもありますが。

さらに、インターネットにある膨大な資料や記述を引用し、自分のブログなどに貼り付けることで、他人が言っていることをあたかも自分の考えのようにコピー&ペーストするようになる。これが「コピペ思考」なのですが、漢字を覚えることを放棄するだけでなく自分で考えることも放棄していくようになる。ネットで公開されているテキストを引用することによって、思考停止して白痴化していく。

細谷さんは次のような見解を提示されています(P.3)。

インターネットの向こう側にある情報の大海というのは諸刃の剣である。検索エンジンによってすべての人間が膨大な情報への簡単なアクセスを手にした。しかしこういった膨大な情報を簡単に「コピペ」するという姿勢で使っていたのでは人間の考える能力は退化していき、そのうちにコンピュータにその役割は取って代わられて、そういった人たちはたちまち大海の藻屑として散るだろう。その半面で考える力(本書でいう「地頭力」)を身につけた人はこの膨大な情報を駆使してこれまでとは比べ物にならないような力を発揮できる可能性がある。

このことはぼくも漠然と危機感を持っていました。なので、ブログを書くときに引用を禁じて書いた時期もあります。他人の言葉を引用すると、なんとなく自分で考えたような気になる。けれどもそれは虎の威を借る狐というか、ものすごく安易な借りものの思考でしかない。効率的かつファッショナブルに引用することはできますが、その利便性に甘んじることによってますます考えなくなる。

そもそもぼくは思考力を強化するためにブログを書き始めたのでした。立体的な思考の獲得をめざしていたわけです。どういうことかというと、インプット、つまり情報収集に関しては膨大なネットのテキスト、映画、音楽、小説などを対象として幅広く吸収し、吸収するだけではなくレビューなどで自分で考えたことをアウトプットすることによって、のっぺりとした平面的な思考ではなく、遠近感(パースペクティブ)のある思考を身につけたかった。

そのことによって何を目指すかというと、トランスフォーマーみたいにフレキシブルに自分を変形して、あらゆる状況に対してやわらかく生きていく、ということでした。これは、この本のなかで言われる「地頭型多能人(バーサタイリスト)」に近いかもしれません。

この「バーサタイリスト」という用語自体は、ITコンサルティング会社であるガートナーグループが2005年に定義した造語とのこと。「適応力があってどんな分野でも実績を上げることができる人」 のようです。

ここでふと繋がったのですが、ダイエーからマイクロソフトに転身した樋口泰行さんも、アップルからマクドナルドに転身した原田永幸さんも、バーサタイリストではなかったかと。一方でぼくは、小説を書きつつ音楽を作ったり、仕事について考察しつつ家庭について考えたりしていたのですが、つまり知らず知らずのうちにぼくが求めていたのは、バーサタイリスト的なスキルだったのではないか、と思いました。

そんな発見をしつつ、これらの本をあちらこちら読んでみたいと思っています。無理に繋げる必要はないのですが、自然と繋がってきたり、あるいは別の本を引き寄せたりしてくれるといいですね。なんとなく知的な好奇心がそそられるというか、楽しくなってきました。

投稿者: birdwing 日時: 23:30 | | トラックバック (0)

2008年1月10日

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当たり前の選択、という革新。

r25_080110.jpg仕事の合間に、ほっとレモンでも買おうかとコンビ二に立ち寄ったのですが、フリーペーパーのラックに本日発行のR25があったので手にとってみたところ、なんとインタビューはトム・ヨーク(Radiohead)。すごいなあ!でも、最近どの雑誌見ても(TVBros.まで)トム・ヨークの取材記事なので露出過多という気がしますが。

ただ、なかなか面白かったです、R25のインタビュー。トム・ヨークの穏やかだけれどアグレッシブな感じがよく出ている気がする。

そもそも彼等の最大の話題だったのは、ぼくも年末に購入したのだけれど、「イン・レインボウズ」というアルバムなのですが、

1)バンドのオフィシャルサイトから直接ダウンロード販売したこと
2)しかも、その値段は購入者に任せたこと(!)

ということをやってのけたからでした。

r25_tom2.JPG1)に関して言えば、レコード会社とか流通をすっとばして、アーティストが自分の曲を自分で売りさばいた、ということになります。だいたいアマチュアのミュージシャンは、自分でCD作ってサイトで売ったり、新宿には多いのだけれどストリートライブしながら販売したりするのだけれど、なんといってもレディオヘッドというメジャーなアーティストがインディーズみたいなことをやってしまうのが凄い。iTunes並みのイノベーションなわけです。

しかも、その値段は購入者の言い値、という。ものすごく感激して1曲に10万円という値を付けるようなひともいるかもしれないし、それこそ貧乏であれば10円で購入するかもしれない。こういう言葉で括ってしまうのもどうかと思うけれど、究極の顧客主導であるわけです。

アーティストが、えへんと威張り散らして曲を作り、中間のレコード会社や流通がそこに自分達の利益をくっつけて搾取して、消費者のところに届いたときにはでっかい雪だるまのような値段になっている、そんな音楽業界に対して、ほんとうにラジカルな破壊を行ったと思います。

この姿勢はロックだなあ。しかも、インディーズっぽい。いまさらながらだけれど、ぼくはこういう過激さが好きです。そして、ネットで何かをやるならば、こうでなくっちゃという気もする。

結局ブログを誰がつまらなくしているかというと、アルファブロガーとか広告モデルとか、最終的には従来からあるマスメディア的な思考とかレガシーな何かに収束させてしまおうという動きがつまらなくしているのではないか、とぼくは思う。もっとラジカルな、反主流というか、面白いことができるのではないでしょうか。

R25のインタビューから引用します。今回の試みは音楽業界への挑戦ではなく、シンプルな動機だったとして次のように語っています。R25のWebサイトでもインタビューを読むことができます。

「作品を届けるときに、間に余計な人たちが絡んでいないのが魅力的だった。たとえば先入観を与える情報雑誌のレビューとか、音楽業界の変な政治とかプロモーションとか、そういうくだらないことを抜きにして、とにかく早く音楽が出せるわけ。“ハイ、音楽ができました”“リターンを押す”“ハイ、受け取りました”ってね」

これはものすごく共感。というのはぼくもブログで稚拙ではあるけれども自作DTMを公開しているのですが、ほんとうに作ったその場でmp3にエンコードして、アップロードするまで15分とかからない。できたてほやほやの曲を公開できるわけです。だから次のような言葉にも納得。

「“普通じゃないこと”をやればメディアはすぐに革命的だと言うからね(笑)。最初のうちはそうした反応を楽しんでいたよ。でもね、結局そんなのは俺たちにとっては関係がないことなんだ。いまも普通に多くの人たちがネットを通じて音楽を発表している。俺たちはたまたまそれをちょっと大掛かりにやっただけだ。決断をした理由は単純で、当時の俺たちが置かれた状況から、当たり前の選択をしただけだよ」

この謙虚なのか大胆なのかわからない発言(笑)。そして、解説の次の言葉に大きく頷けます。

前作を03年にリリースし、レコード会社との契約が満了していた。この作品に取りかかっているとき、レディオヘッドはインディーズだったのだ。それも世界一有名で、世界一有力な。

うーん、いいですねえ。しびれる。もともとインディーズ的な何かに惹かれるわたくしですが、ロングテールの末端に巨人がいるようなイメージで、レディオヘッドに限りなく親近感を覚える。というか、応援したい。

r25_tom1.JPG

なのですが、あえて言い切ると、ぼくは「イン・レインボウズ」はあんまり好きじゃないんだな。数回聞いただけで、あとは聞かなくなってしまいました。よくわからないのだが、肌に合わない。熱狂的なファンではないので、もしかするとあまり聴かないアルバムになってしまうかもしれない。「ザ・ベンズ」はかなりのへヴィー・ローテーションなんですけどね。

と、そんなぼくはいまだにダウンロード販売で楽曲を購入したことがない時代遅れです(苦笑)。昨日も会社の帰りにCDを試聴して次の2枚を購入しました。

Surprising Twists!Surprising Twists!
ババマール


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A Little Place in the WildernessA Little Place in the Wilderness
Memphis


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一枚目は、フランスのサーフ・エレクトロ・ポップ(?)。チープな感じが楽しかったので。ちょっとTahiti80っぽいノリもあるかもしれません。埋め込み無効なので、YouTubeのリンクです。

■Babamars - "Move on (Surprising Twists)"
http://jp.youtube.com/watch?v=yJMsAZPbXnU

なんだか怪しい(笑)。2枚目は、ギターが美しいしっとりとした癒し系の音ですね。ジャケットのように霧というか霞の向こう側にある風景のような音です。

トム・ヨークのアグレッシブさに惹かれつつ、ブログなんかも書いているにも関わらず、どこか保守的でレガシーなものから逃れられない自分ですが、それでもやっぱり自分が変わりつつあると感じる今日この頃。当たり前だけど過激、ふつうだけど意外、というような尖り方に憧れます。

投稿者: birdwing 日時: 23:36 | | トラックバック (0)