ムラサキでいこう。
なんだか「ムラサキでいこう」と書くと、居酒屋の村さ来へ行こう、みたいなイメージもありますが、そうではありません。
少し前に、29manとして知られるブロガー渡辺英輝氏が、はてなの近藤氏とパネルディスカッションをするという贅沢なイベントがあったのですが、その場で、渡辺氏が「いま、セス・ゴーディンの著作を読み直している。彼の著作は古いんだけどいまもなお新しい。というか、彼の言っていることが現実になっているんだよね」というようなお話をされていました。
渡辺氏といえば、販促会議12月号の表紙ジャックをしています。ぼくは宣伝会議、販促会議の大ファンで愛読者でもあり、先日、書店に行ったときに販促会議の表紙を拝見して、おお、これは渡辺氏ではないか、ブログの表紙にあるイラストとそっくりであることだなあ、そういえばセス・ゴーディンって言ってたよな、ということを思い出しました。そこで、ちょっと古い(2004年の2月に発行)のですが「「紫の牛」を売れ!」という本を購入しました。ちなみに、同時に買ったのはダン・ギルモアの「ブログ 世界を変える個人メディア」です。
この紫の牛本がですね、すいすい読めて面白い。しかも、前半の方では、ドン・ペパーズとマーサロジャースの本や「キャズム」など、さまざまなマーケティング本を横断してさらっと端的に俯瞰してみせて、俯瞰的な思考を標榜するぼくとしては、いいな!と思いました。ごちゃごちゃと難しいことを書いた本は多いのですが、これほど簡単な言葉で、しかもさーっと俯瞰した文章に出会うのは久し振りです。とても気持ちよかった。
まだ半分ぐらいしか読んでいないのですが、彼が言いたいのは明確で「目立ちなさい」ということ。つまりそれが「紫の牛」なのです。マザー牧場で牛を眺めていると(本文中はマザー牧場じゃありませんが)、牛っていいなあ、和むなあ、癒されるなあ、と思うが、次第に、どれもこれも白黒じゃん、もー牛いいですっ!と思うようになる。馬はいないの?とか、羊はどうした!シープ、プリーズという気持ちになる。でも、そのなかに突然、紫の牛が登場したら、げ、なんだこりゃ、変なの!と注目する。
さまざまな刺激や手法が繰り返されて、ぼくら消費者の思考は磨耗している。だからこそ、強いインパクトを与える製品やメッセージが必要であり、そのために注力すべきである、ということ。そして紫の牛なんてものが現れたら、「おい、あのムラサキの見たか?」のように口コミで広げることができる。
ところで、またまた関係ないところに考えがとんでしまうのですが、ムラサキってどんな色だったっけ?と思いました。ぼくの頭のなかには、ぼんやりと紫色が浮かんでいるのだけど、それがあっているのかどうか。あるいは古文では、紫式部などがありますが高貴な色であったような気もして(ほんとうに国文出身なのか??)、紫がひとに与えるイメージはどうだろう、とか。大学のゼミの先輩が、色彩心理学の関連のお仕事をされていて、いつか本をいただいたような、ということも思い出したりしました。
Googleで検索したところ、色事典というページを発見。秋田公立短期大学の助教授をされている方のページらしい。その紫に関する解説では高貴な色、静けさというよいイメージがある反面、欲求不満や不信感、不吉などのマイナスなイメージもあり、「アンビバレントな色」などとも書かれている。日本語で紫を示す色を抜粋してみると、浅滅紫(あさけしむらさき)、菖蒲色(あやめいろ・しょうぶいろ)、薄滅紫(うすけしむらさき)、梅紫(うめむらさき)、江戸紫(えどむらさき)、紫苑(しおん)、紫紺(しこん)、灰紫(はいむらさき)、半色(はしたいろ)、鳩羽紫(はとばむらさき)、藤紫(ふじむらさき)、などがある。この文字だけを見ていても趣きがある。いろいろないろがあるもんです。そして、これは青だろうか、ピンクだろうか、という微妙な境界にある色もある。もう少し掘り下げてみたいのだけど、そのためには色彩に関する基礎知識が必要になってきそうです。ついでにパープルという語から連想する音楽としては、ディープ・パープルだったりパープル・レイン(プリンスの曲。一時期、変な記号のひとになりましたが)だったり。
ともあれ、安全な路線よりも、ちょっと危険だけれども目立つ路線をめざしたい。どんなに失敗しても、高貴な志だけは持っていたい。そうだ、ムラサキでいこう。そう思いました。
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■紫の補色は黄色だったかと思うんですが、本の装丁もインパクトがある。
「紫の牛」を売れ! 門田 美鈴 ダイヤモンド社 2004-02-20 by G-Tools |
投稿者: birdwing 日時: 00:00 | パーマリンク | トラックバック (0)